栄養サポート班

概要

Nutrition Support Team(NST:栄養サポートチーム)とは、病院内で医師、看護師、薬剤師、栄養士、検査技師などの多職種が共同して栄養管理を行うチームのことです。NSTは、1970年米国のシカゴで誕生し、その後欧米諸国へ急速に広がっていきました。その背景には、入院患者のうち栄養不良と判断される方の割合は30~55%もいることがわかり、この栄養不良が創傷治癒の遷延、免疫障害、他臓器不全ひいては死亡率の上昇、入院期間の延長、医療費の増加をもたらしている、という現実が明らかになったからです。要するに、病気の治療にばかり気をとられ栄養をおろそかにしていると、治る病気も治らず、また余計な合併症を引き起こす元になってしまうということです。栄養管理をきちんと行うには医師だけでなく病院内で栄養に関連する多職種の共同作業が不可欠ですので、そのために結成されたチームがNSTです。日本でもこの数年ようやく栄養管理の重要性が認識されるようになり、全国の病院でNSTが活動を開始しております。

NSTの主な役割は、

  1. 栄養管理の必要性の判定および栄養評価の施行
  2. 適切な栄養管理が行われているかのチェック
  3. 各症例に最もふさわしい栄養管理法の指導・提言
  4. 栄養管理に伴う合併症の予防・早期発見・治療
  5. 栄養管理上のコンサルテーションへ対応
  6. 資材・素材の無駄を削減
  7. 早期退院や社会復帰を促進し,QOLを向上
  8. 新しい知識の啓発など

とされています。

これらのことを適切に行うことにより、特に手術後の回復や社会復帰までの期間、褥瘡をもつ患者さんの予後が劇的に良くなることが報告されています。

取り扱っている主な疾患

基本的に栄養に問題があると考えられるすべての患者さんが対象となります。

特色

あゆみ

当院ではまず2000年4月に周術期の栄養管理が重要とされる一般・消化器外科病棟において単科型NSTが発足し、その経験を活かし2004年には病院全体の患者さんを対象にした全科型NSTへと移行し活動を拡大しました。2006年4月にすべての患者さんに目が行き届くように各病棟単位に病棟NST(医師、看護師、薬剤師、管理栄養士から構成)を設置し、より多くの患者さんに対応可能な組織として活動を継続しています。2004年には日本静脈経腸栄養学会NST稼働施設認定を受けています。

活動状況

実際のNST活動は、患者さんの栄養状態はひとりひとり千差万別ですので、まず入院されたすべての患者さんの栄養状態を病棟NSTが調べ、栄養管理を必要とするかどうか判断することから始まります。必要と判断した場合は、口から食べる「経口摂取」、静脈からの「静脈栄養」、鼻管を通して胃や腸に栄養剤を注入する「経腸栄養」のうち、どれが患者様に一番合った栄養療法であるかを選択して実施します。病棟NSTで判断に困ったり、うまくいかない場合には、より専門的な知識と経験を持ったNSTコアスタッフ(医師5名、看護師5名、薬剤師4名、管理栄養士1名、検査技師1名、医事課1名から構成)が依頼を受け、週に1回カンファレンスと回診をおこない、栄養管理に関する助言を行っています。

当院の特色

当院では電子カルテを利用して、栄養評価・栄養シミュレーション・カンファレンスが簡潔かつ効率的におこなえるNSTシステムを構築し、運用しています。

教育活動

院内・院外の医療関係者を対象に月1回様々なテーマで栄養に関する勉強会を開催しています。また、病棟NSTの活動報告として症例検討会を行っています。

取得した認定学会名

日本静脈経腸栄養学会NST稼働認定施設(認定番号 02-00242)

取得している各専門医・指導医の数