研究案内

研究室紹介

循環器内科について(1)

高齢化社会の到来とともに心筋梗塞をはじめとする心臓血管病は増加の一途をたどり、心臓血管病の克服は現代医学における最重要課題のひとつとなっています。我々は、独創的な新しい診断・治療法を確立することによって心臓血管病の克服に貢献したいと考えています。心臓血管病を分子・細胞のレベルから理解し、得られた知見をもとに新しい診断・治療法を開発し実践臨床の場へ還元する戦略です。
我々の研究室では血管がいかに発生・成熟するか、いかに病気の発症につながる障害をうけるかを理解するため、血管構造・機能の鍵を握ると考えられている血管内皮細胞を研究対象としています。接着・運動を中心に内皮細胞の生理機能を制御する細胞内シグナル分子の解析を行っています。また新規シグナル分子の同定を試みています。これら内皮細胞シグナルの異常が心臓血管病の発症につながることを示唆する知見が集まってきています。さらに遺伝子導入法を用いて内皮細胞シグナルを人為的に制御することにより傷ついた血管を再生させるプロジェクトが進行中です。

以上のような研究を通して遺伝子解析、蛋白化学、細胞培養をはじめとする分子細胞生物学的研究手段全般を修得することができ、さらに実験動物を用いた生体における血管の生理機能研究、病態モデルの作成と病理学的解析へと発展が可能です。また基礎医学、薬学等の研究者ともひろく交流し共同研究を展開できる機会が得られます。当研究室では得られた成果を国内・国外を問わず学会発表・論文発表し、積極的に情報発信していきたいと考えています。

 

循環器内科について(2)

バクテリアからヒトに至るまで、生物の体内には約一日の時間を測る自律的な時計が備わっています。これは体内時計(概日時計、生物時計、Circadian Clock)と呼ばれ、時計遺伝子によって構築されています。時計遺伝子の約一日周期の自律的活性リズムがペースメーカーとして機能し、広範に及ぶ生理機能において日内リズムが生まれることがわかっています。例えば、体温、血圧、心拍、睡眠、内分泌など日内変動する生理機能は非常に多岐に渡ります。体内時計機能不全は睡眠障害や精神疾患の要因になり、また長期の機能不全はガン・メタボリックシンドローム・循環器疾患などの広範に及ぶ疾患のリスクファクターとなると考えられています。光や摂食を情報源として体内時計は外的時間と同調しますが、現代人の生活環境は体内時計の正常機能を脅かすものではないでしょうか。

私たちは体内時計の基礎から臨床を意識した課題まで、広く学際的に研究を進めています。(1)体内時計分子モデルは1999年に確立されて広く受け入れられていますが、私たちはこのモデルは不完全であり改正が必要であると考えています。このように、体内時計分子モデルを我々独自のアイディアで検証することを中心課題と考えています。(2)一方で、体内時計研究を医学応用に発展させたいと考えています。体内時計機能不全は睡眠障害・代謝異常・心血管病・ガンなど多くの疾病に関連しますが、本研究室では肥満や動脈硬化に対し体内時計の関与を調べています。(3)さらに、私たちはヒト時計遺伝子を低侵襲的に検出する方法を構築中です。ヒトを対象とした時計遺伝子研究は現時点では非常に遅れており、まず実験系の確立が急務であると考えられます。技術的に確立されれば、ヒトの体内時計研究が急速に発展することが期待されます。
時計遺伝子の活性をホタルの遺伝子を利用して発光で観察しています。写真は、体内時計中枢である間脳視床下部・視交叉上核を、培養下で発光イメージングによりリアルタイムモニタリングしています。光の点の一つ一つが視交叉上核を構成する神経細胞です。

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