令和4年度 国立大学法人佐賀大学医学部附属病院 病院指標

医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)

1・年齢階級別退院患者数
2・診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
3・初発の5大癌のUICC病期分類別ならびに再発患者数
4・成人市中肺炎の重症度別患者数等
5・脳梗塞の患者数等
6・診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
7・その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

 

年齢階級別退院患者数 ファイルをダウンロード

当院は、地域医療の砦として幅広い疾患に対応するとともに、最新の高度医療の提供を行っています。対象疾患としては各領域の悪性腫瘍や脳・心臓などの血管障害が多くみられますが、その他に外傷や感染症、先天性異常、関節・運動器、感覚器、排泄機能などの様々な機能障害に対する入院治療も行っています。
全体の約3割を70歳代が占め、50歳代以上は約8割近くに達しています。
また、50歳以上の患者さんが占める割合が前年よりも増加しており、地域住民の高齢化のため、今後ますます高齢層の入院割合が高くなることが予測されます。

 

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) ファイルをダウンロード

■総合診療科

総合診療部ではあらゆる症状、疾患の患者の入院診療を行っています。特にCommon Diseaseである肺炎や尿路感染、憩室炎など感染症が多く、その中には、敗血症、ショックなど重篤で全身管理が必要な症例も含まれます。その他に、診断が困難な電解質異常(低ナトリウム血症、低カリウム血症など)や重症貧血、不明熱(感染性心内膜炎、化膿性脊椎炎などの感染症、膠原病)、原発不明癌の患者を多数診療しています。また、誤嚥性肺炎や虚血性腸炎などの高齢患者を多数診療しています。患者の年齢や状態、社会背景などを考慮し、約10日前後で退院もしくはリハビリなどのために地域の病院へ転院をお願いしています。特に当院の附属施設である富士大和温泉病院地域総合診療センターを始めとする関連病院と連携しながら診療を継続して行っています。

■呼吸器内科

肺癌をはじめとする腫瘍性疾患に対して、呼吸器外科、放射線科、病理部と連携し、集学的治療を行っています。診断としては、超音波気管支鏡を用いて、従来の気管支鏡検査では診断困難な患者さんにも対応しています。治療分野では、プレシジョンメディシンを遂行するため、学外施設との連携を行い、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤の適切な投与に取り組んでいます。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法指導医を中心に治療を行っています。
昨今の肺癌診療は手術、全身療法(術前、術後補助療法)、放射線治療を合わせた集学的治療が大きく進歩し、治療法が複雑化しています。個々の患者さんに適した治療方法選択のため、毎週多診療科によるカンファレンスで議論し、よりよい治療の提供に努めています。

■呼吸器外科

原発性肺癌の手術数は年々増加しており、そのほとんどに低侵襲手術を行っている。特に昨年度からはロボット支援下手術を導入しており、肺癌の約3割の症例で実施している。在院日数も全国平均とほぼ同等となっている。

■循環器内科

循環器内科で多い症例は、心筋梗塞、狭心症など虚血性心疾患に対する心臓カテーテル治療と、不整脈に対するアブレーション治療と、ペースメーカー治療で、この3つで全症例のおよそ7割を占めております。閉塞性動脈硬化症(ASO)の患者さんにも経皮的血管拡張術(PTA)などの治療を積極的に行っています。後期高齢者の患者さんでもアブレーションやペースメーカー移植術を安全に行う事ができます。

■心臓血管外科

心臓大血管手術の中で弁膜症に対しては、僧帽弁には弁形成術を積極的に行っております。小切開手術による低侵襲化も症例により導入しております。開胸手術のリスクが高い大動脈弁狭窄症の患者さんには、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)も行っています。TAVIやステントグラフト治療を受けられる患者さんには高齢者が多く、認知機能を含めリスク評価のために術前に検査入院を行い、手術適応などを慎重に検討しています。大血管手術は主に人工血管置換術とステントグラフト内挿術を行っていますが、血管の解剖学的な側面のみならず、年齢や基礎疾患、手術歴など、患者さんの状態に応じて慎重に治療法を検討した上で手術を行っております。虚血性心臓病に対しては、血行再建を目的としたバイパス手術を行っており、心機能や全身状態に応じて人工心肺装置を用いずに心拍動下での冠動脈バイパス術も行っております。

■消化器内科

日本消化器内視鏡学会および日本消化器病学会専門医8名を中心に、食道・胃・大腸の腫瘍および炎症性腸疾患に対する内視鏡診断および治療を行っています。コロナ禍でも治療件数は増加傾向にありましたが、コロナが収束に向かったことで早期食道癌ならびに早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術はさらに増加しました。一方で大腸においては、粘膜下層剥離術は減少して粘膜切除術が増加しました。これはUnderwater EMRなど新たな技術を積極的に取り入れて、より低侵襲な治療を目指したことが結果として現れたものと考えます。
平均年齢は上昇傾向ですが、転院率も増加傾向です。高年齢化に伴い退院まで時間を要すこともありますが、連携施設様にお力添え頂き予定入院が滞ることなく診療を行うことができました。ご協力頂きました皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。

■一般・消化器外科

一般・消化器外科では、悪性腫瘍(食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、乳癌など)から良性疾患(胆石症、鼡径ヘルニアなど)、さらに腹部外傷まで幅広く診療しています。昨年は患者数が多い順に結腸癌、胆石症などの胆道良性疾患、肝臓癌(転移性肝癌を含む)、胃癌、乳癌の患者さんの入院診療を行っています。平均在院日数に関して昨年は、肝臓癌手術はやや全国平均より長いですが、その他は概ね全国平均と同等かやや短いという結果です。患者さんの高齢化や地域の特性も考慮しつつ、個々の患者さんにベストとなる対応を心掛けています。また、当科では消化器悪性疾患と乳房悪性疾患に対して外科手術を中心に診療を行っていますが、癌の進行度に応じて内科(腫瘍内科、肝臓内科)や放射線科と連携して集学的治療を行っているのが特徴です。

■肝臓・糖尿病・内分泌内科

胆膵領域疾患に対して、内視鏡治療(総胆管結石除去術、胆管ステント留置術等)を行っています。14日以内の退院を目指しており、現在平均在院日数は約10日間となっています。高齢者の割合も多く、ADLの低下を予防するためにもなるべく早期の退院が望ましいと考えられますが、長期の入院が必要となる場合には近隣の病院に協力いただき、治療を継続していくようにしています。また肝胆膵癌の化学療法は、初回治療は基本的に入院で導入しています。以降、すみやかに外来化学療法へと移行しています。
血糖コントロール、合併症評価、糖尿病に対する理解を深めることを目的に約2週間の糖尿病教育入院を行っております。患者個々の病態に応じてオーダーメードな治療を行い、強化インスリン療法やGLP-1受容体作動薬を積極的に使用しています。簡易血糖測定器や持続血糖測定器を用いて血糖の経過を評価しています。糖尿病合併症の種類や程度に応じて適宜他科と連携し評価および治療介入を行っています。患者教育については医師だけでなく、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床心理士等とともにチーム医療で行っています。高齢者糖尿病の入院に対して、退院調整看護師、ソーシャルワーカーと一緒に在宅医療支援を行っています。

■血液・腫瘍内科

・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、リツキシマブ併用多剤併用療法(R-CHOP療法など)を入院にて導入しています。多くの場合は、
 2コース目以降を外来通院および外来化学療法室にて継続しています。
・急性白血病では寛解導入療法、地固め療法を入院にて行います。必要な患者さんに対しては、同種造血幹細胞移植を施行しています。
・若年者でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が再発した場合は、自家造血幹細胞移植を行います。リンパ節病変が大きい場合は、化学療法
 後に放射線治療を追加する場合があります。

■脳神経内科

当院の脳神経内科では脳卒中、てんかんなど神経救急疾患の患者さんが多く入院されています。特に脳卒中の患者さんが多く、入院患者さんの約半数は脳卒中の方です。脳卒中の中では脳梗塞が6-7割と多く、脳梗塞の患者さんに対しては、救急隊、当院の救急部・脳神経外科・放射線科とも協力し、できるだけ早く血栓溶解療法や血栓回収術などの積極的な治療が行えるよう取り組んでいます。また発症早期からのリハビリテーションも行っています。

■脳神経外科

脳神経外科では、脳動脈瘤に対する検査(脳血管造影検査)のための入院が最も多くなっています。脳動脈瘤とは脳の血管に膨らみができる病気で、これが破裂するとくも膜下出血を起こしてしまいます。脳動脈瘤があればすぐ手術をしなければならないというものではなく、大きさ、形状、患者さんの持病などを総合的に判断し、破裂の危険性と手術のリスクを正確に判断して破裂する前に手術を行うべきかどうか、治療方針を判断しています。
次いで、未破裂(出血を起こしていない)脳動脈瘤の脳血管内手術のための入院です。足の付け根の血管や肘の血管などからカテーテルという管を脳の血管まで通して、そこから病変を治療する手術です。
3番目に多いのは、頸動脈狭窄症に対してステントを留置して狭窄を改善するための手術のための入院です。頸動脈は脳に血液を送っている非常に重要な血管であり、動脈硬化などでこの血管が狭くなると脳の血流が低下し、脳梗塞など重篤な病気を発症する原因になります。動脈瘤と同様に足の付け根の血管や肘の血管などからカテーテルという管を脳の血管まで通して、狭くなった頸動脈の内側からステントを留置することで頸動脈の狭窄を改善することができます。
4番目は、頸動脈狭窄症の治療適応や方法を検討するための検査入院となっています。動脈瘤と同様にカテーテルを使用した検査や頸動脈が狭くなることによって脳の血流がどの程度低下しているかなどを調べる検査のための入院です。
5番目は、子供の患者さんの鎮静検査目的の入院です。当科では小児脳神経外科疾患に積極的に取り組んでおります。MRI検査など、30~40分の間狭い検査装置の中で動かずにじっとしていることが難しい場合、小児科と協力し、鎮静薬で眠っている間に検査を行います。当院では安全な鎮静検査を行うため、1泊入院をしていただき検査後の安全を確認しています。

■整形外科

1,2:高度医療を提供する関節外科センターとして全国から難治症例を受け入れ、全国でもトップクラスの人工関節置換術件数を有していま
   す。
3:加齢に従い増加する肩関節腱板断裂患者に対する手術を低侵襲である関節鏡を用い行っています。
4,5:脊椎脊髄外科指導医3名とスタッフ1名で頸椎から骨盤まで幅広い脊椎手術を実施し、高齢者や手術の危険性が高い症例に対する変性腰
    椎疾患手術例が年々増加しています。

■膠原病・リウマチ内科

全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎、血管炎症候群などの全身性の膠原病疾患(重篤な臓器障害を伴う全身性自己免疫性疾患)が最も多い疾患です。発症時および再燃時には診断と活動性評価を行い、寛解導入の治療としてはステロイド剤、免疫抑制剤や生物学的製剤などの投与を行います。急性期のコントロールがついたのちに退院または転院を行いますが、近年御高齢の方や種々の合併症をお持ちの方も多く、治療が難渋したり身体機能低下をきたすことで入院期間が長くなる傾向にあります。そのために平均在院日数が長いのが現状です。メディカルソーシャルワーカーや支援施設との連携を強化して短縮できるように努力しています。

■皮膚科

皮膚悪性腫瘍の治療が中心です。なかでも手術が最も多く、症例によっては化学療法を行っております。その他に、良性腫瘍、膿皮症、感染症や発汗障害に対する診療も多く行っています。

■腎臓内科

当科は佐賀県の腎疾患を担う診療科として、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などをはじめとする進行性腎障害が疑われる症例に対して、速やかな入院下で、徹底した食事・生活指導、処方調整を行っています。またIgA腎症やネフローゼ症候群など、その診断のために危険性と高度の診断技術を要する疾患を一手に受け入れ、最良の治療へと導くことで慢性腎臓病から末期腎不全への進展を極力減らし、または遅らせるべく日々診療に取り組んでおります。末期腎不全状態に至った患者さんへは、個々人に応じた的確な診断と最良の対応(血液・腹膜透析、在宅透析、腎移植そして保存的腎臓療法)の選択を提示し、医療者ー患者間での共同的意思決定に基づいた最適な治療を提供しております。

■泌尿器科

高齢、メタボ社会の現在、本邦成人男性の癌のうち1/4が泌尿器癌であり、当院では前立腺癌、膀胱癌、腎癌などの多数の患者さんが紹介されています。膀胱癌は、早期癌であれば経尿道的な内視鏡手術で根治が可能ですが、進行癌では抗がん剤治療や尿路変更を伴うロボット支援下膀胱全摘手術が必要となります。前立腺癌においては、「疑い」の段階から、根治手術・薬物療法まで幅広く診療を行っています。 尿路結石症は泌尿器科の代表疾患で、メタボリック症候群とも関連しています。当院では、尿路結石症に対する専門的な内視鏡手術を積極的に行っています。女性患者さんに対しては骨盤臓器脱や尿失禁に対して低侵襲な外科的治療を行っており、近隣の泌尿器科および産婦人科より多数の患者さんの紹介をうけています。

■産婦人科

1.子宮頚部高度異形成や上皮内癌などの前癌病変・初期病変に対しての診断・加療を目的とした手術目的の入院です。近年子宮頚癌の若年
 化に伴い症例数が増加しています。
2. 子宮悪性腫瘍に対する手術療法目的の入院です。当院は初期癌から進行癌まで手術が有用と考えられる症例に対しては積極的に手術を行
 っています。子宮体癌に対しては、腹腔鏡およびロボット支援手術も導入しています。
3.子宮体癌、子宮頚癌に対する化学療法目的の入院です。進行症例、手術不能症例や再発症例では化学療法を必要とします。化学療法後に手
 術を行う症例もあります。近年では通院で行う外来化学療法が増加していますが、個々の症例に応じて高齢者などリスクの高い症例は入院
 での化学療法を行っています.
4.帝王切開です。予定手術だけでなく、超緊急手術にも対応しています。
5.卵巣癌に対する化学療法目的の入院です。手術不能症例・進行症例に加え、術前化学療法、術後化学療法目的にも使用しているレジメンで
 す。卵巣癌の罹患率は年々増加傾向にあり、症例数が増加しています。近年では外来通院での加療も増えていますが、症例に応じて高齢者
 などリスクの高い症例は入院で行っています。

■小児科

早産児、てんかん、尿路感染症、気道感染症の入院が多いのは昨年と同様ですが、今年は熱性けいれんの入院が多くみられました。平均在院日数は、尿路感染症は全国平均よりかなり短くなっていますが、それ以外は、ほぼ同等でやや長めです。今年は、喘息の入院が少ない傾向でした。

■眼科

白内障は一般に加齢によりすべてのひとが罹患する可能性のある病気です。日本では年間150万人くらいの患者さんが手術を受けています。現在は手術の技術も進歩し、侵襲の少ない手術が短時間で施行可能ですが、大学病院で手術を行う患者さんは、高度の全身または眼合併症を伴う方や認知症を有する方も多いのが特徴です。また小児の先天白内障や併発白内障などの患者さんも大学で手術を行う場合が多いといえます。
網膜剥離は、人口約1万人に1人程度の割合で発症する可能性が有り、治療が遅れると失明に至る重篤な眼科疾患で、治療には可及的に早急の手術を行います。
黄斑疾患のうち黄斑円孔や黄斑上膜などは手術治療による根治が可能な代表的な疾患です。そのため積極的に手術加療を行っています。また加齢黄斑変性に伴う出血などにも手術が行われることがあります。
緑内障は日本での失明原因が第1位の疾患です。初期には点眼を中心に眼圧を降下させる治療が行われていますが、薬物による眼圧のコントロール不良例については手術治療が行われます。
視線のずれで両眼でうまくものを見ることの出来ない状態を斜視といいます。特に小児では時に内斜視や外斜視などが生じることがあります。先ずは眼鏡での治療を行いますが、ずれの矯正が不十分な場合は手術を行います。

■耳鼻咽喉科・頭頸部外科

のど、口、鼻、顔面・頸部などの頭頸部に発生する悪性腫瘍(頭頸部癌)を中心に診療を行っています。この領域にはことばを話す・聞く、味わって食べる・飲みこむ、香るなどの、コミュニケーションや人間らしい生活に必要な機能がつまっており、こうした機能をなるべく温存して頭頸部癌を根治させるために、最新の機能保存手術や放射線治療、薬物療法に取り組んでいます。必要があれば拡大手術を行いますが、その際も形成外科等の他診療科とのチーム医療により、機能を再建する手術を行っています。また再発や転移をきたした頭頸部癌に対しても、免疫療法薬、分子標的薬を含む薬物療法を行っており、他大学と連携したがんゲノム医療も導入しています。頭頸部良性腫瘍の治療も合併症予防のため神経刺激装置などを活用して手術を行っています。副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎に対しては、鮮明な4K画像モニターとナビゲーションを用いた内視鏡手術を行い、良好な手術成績を挙げています。

■形成外科

瘢痕拘縮 瘢痕拘縮形成手術 手術・処置等1なし
形成外科疾患のみが、本手術術式の対象となる。新型コロナウィルス感染症の影響でその数は減少している。

■救急科

県内唯一の高度救命救急センターとして体制充実を図っており、精神科との連携が必要な急性薬物中毒症例や脳神経外科との連携が必要な頭部外傷症例については集約して対応していると考えます。体温異常についても重症熱中症としての対応であったり、熱中症をきたしやすい背景がある方の総合的な加療も行える体制をとっていることなどが反映されたものであると考えます。
また、誤嚥性肺炎および体温異常については新型コロナ感染患者のうち特に人工呼吸器管理を要する症例や新型コロナ感染症に他疾患を合併している症例をを集約して受け入れていたことから、発見現場では熱中症か新型コロナ感染かの鑑別に苦慮するような症例の搬送も増えていた影響も反映されていると考えます。

  

初発の5大癌のUICC病期分類別ならびに再発患者数 ファイルをダウンロード

※1:UICC TNM分類, 2:癌取扱い規約

5大癌である胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌の患者さんについて、初発でのUICC病期分類別、および再発に分けて集計しました。患者数は延患者数で、集計期間中に複数回入院して治療された場合は、回数分をかけた数で表しています。

※UICC病期分類・・・国際対がん連合(UICC)によって定められた、①原発巣の大きさと進展度(T)、②所属リンパ節への転移状況(N)、③遠隔転移の有無(M)の3つの要素によって各癌を0期(早期)~Ⅳ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。(今回0期は集計対象外です)
※「初発」とは、自施設で当該腫瘍の診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合を指します。
※「再発」とは、自施設・他施設を問わずに初回治療が完了した後、自施設にて診療した場合(再発の状態で紹介され治療した場合)や、治療がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指します。

・胃癌診療は、消化器内科や腫瘍内科、消化器外科が中心となって診療に当たっています。月2回の合同カンファレンスの開催など連携をとりつつ、シームレスな診療を心掛けています。早期癌においては外科と内科で協議し、可能であれば積極的に内視鏡下治療を行います。進行癌に対する手術療法では、手術単独のみでなく、術後や術前化学療法を併用することもあり、さらには切除不能であっても化学療法の選択肢も増えており、集学的治療が今後も一層重要となることが予想されます。ガイドラインも遵守しつつ、大学病院として先進的治療を推し進め、患者様の利益となるような診療に努めています。
・以前より質の高い手術を求め、直腸癌に対しロボット支援手術を行ってきました。2022年4月から直腸癌に加え結腸癌に対するロボット支援手術が保険収載され、当科でも積極的に結腸癌に対するロボット支援手術を行っています。また、2023年6月には国産初の手術支援ロボットであるhinotoriTMも導入しました。その他、手術のみでは根治が難しい進行直腸癌に対しては、手術前に全身化学療法と放射線治療を組み合わせるTNT(Total Neoadjuvant Therapy)も積極的に行っています。ステージ4大腸癌に関しては、集学的治療により長期生存や根治が可能となることがあり、腫瘍内科や放射線科と連携をとりながら治療方針を決定し最も良い治療法を提供しています。
・乳がん診療は、乳腺外科医師と看護師(乳がん看護認定看護師やがん看護専門看護師など)、放射線科など他科の医師、薬剤師、理学療法士などが連携し、治療方針の決定、手術、薬物治療、放射線治療、術後のケアなどを行っています。手術では根治性を損なうことなく、整容性向上を目指した手術(内視鏡手術や再建手術)を行っています。また、切除不能乳がんや再発乳がんの場合には、個々の病状・全身状態・生活スタイルに合わせて、生活の質を落とすことなく治療を行うことを心がけています。患者数が少なく見えますが、化学療法に関してはほぼすべてを外来で行っているため入院患者は多くありません。
・肺がんをはじめとする腫瘍性疾患に対して、呼吸器外科、放射線科、病理部と連携し、集学的治療を行っています。診断としては、超音波気管支鏡を用いて、従来の気管支鏡検査では診断困難な患者さんにも対応しています。治療分野では、プレシジョンメディシンを遂行するため、学外施設との連携を行い、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤の適切な投与に取り組んでいます。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法指導医を中心に治療を行っています。
昨今の肺癌診療は手術、全身療法(術前、術後補助療法)、放射線治療を合わせた集学的治療が大きく進歩し、治療法が複雑化しています。個々の患者さんに適した治療方法選択のため、毎週多診療科によるカンファレンスで議論し、よりよい治療の提供に努めています。
・肝癌は、根治的な治療を行っていても1年間に約18%の患者さんに再発を認めます。再発が多いのが肝癌の一つの特徴です。たとえ再発を認めても、肝臓の体力を良好に保っていれば、再度十分な治療を受けることができます。最近の動向として、肝炎ウィルスが背景にない肝臓からの発癌が増加しています。多くは肥満や飲酒による脂肪性肝疾患が原因です。肝炎ウィルスに罹患されていない患者さんは、必ずしも定期的な画像検査を受けられていないことが多く、初期には症状はありませんので、進行癌となって発見される危険性が高くなります。

 

成人市中肺炎の重症度別患者数等 ファイルをダウンロード

※市中肺炎・・・普段の生活を送っていく中でかかる肺炎のことです。
※重症度分類は、A-DROPスコアを用い、軽症~超重症の4段階で表記しています。

当院では、軽症から重症の肺炎治療を行っておりますが、中等症肺炎の患者さんが最多でした。平均年齢は、軽症が50歳、中等症が64歳、重症が76歳、超重症が82歳と重症度が高くなると、高齢の方が多くなる傾向がありました。平均在院日数は、約2週間程度でした。

 

脳梗塞の患者数等 ファイルをダウンロード

昨年度は、急性期脳梗塞患者158名を受け入れました。救急隊との連携を行い、脳梗塞患者に対する血栓溶解療法を適切に行っています。脳神経外科と協力し、血栓溶解療法に加え血管内治療を追加する例も増えてきています。脳梗塞患者で搬送された患者のうちおよそ20%に血栓溶解療法、もしくは血管内治療を行っています。なかには、その両方の治療を行う患者さんもいます。当院では、脳出血患者のうち手術を要さない場合は、脳神経内科が診療するという特徴があります。 リスク管理も徹底し、タイミングを逃さず、脳神経外科での開頭減圧術も行っています。平均在院日数は急性期脳梗塞で18日と地域病院との連携が深まり、特に回復期リハビリテーション病院との連携も良好です。

   

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) ファイルをダウンロード

■呼吸器内科

喀血に対する気管支動脈塞栓術を、放射線科主導の元行っています。対象疾患は、肺動静脈瘻、気管支拡張症、肺アスペルギルス症、肺非結核性抗酸菌症、特発性喀血に加え、一部の肺がん症例です。適応は、呼吸器外科、放射線診断部と協議の上、手術、塞栓術どちらを選択するか決定しています。入院期間は3-5日であり、全症例で喀血の改善ないしは消失を認めています。合併症は特に見られず、再喀血例では、手術を行う場合もあります。

■呼吸器外科

原発性肺癌に対する標準的治療は腫瘍を含む肺葉切除であり、原発性肺癌に対する加療において最も多くを占めています。胸腔鏡下に行うか開胸下に行うかについては、癌の進行度などを個々の症例で評価し判断しています。早期の原発性肺癌に対しては、基本的にロボット支援下手術を含めた胸腔鏡下肺葉切除を選択しているため最も多い術式になっています。近年は2cm以下の小型肺癌に対しては肺葉切除より呼吸機能温存が期待できる区域切除を選択し、むしろ予後も改善されるというエビデンスも出ており、小型肺癌に対する区域切除も増加しています。肺癌に対して区域切除以上の術式を選択した症例は、術後1週間程度で退院し社会復帰しております。
原発性肺癌に対する手術で肺葉切除、区域切除に対する耐術能を有していない患者や、転移性肺腫瘍の患者に対しては、胸腔鏡下肺部分切除を選択します。
気胸の手術は、良性疾患でもあるため、そのほとんどは胸腔鏡下に患者に負担の少ない手術を心がけています。

■循環器内科

循環器内科では、心筋梗塞や狭心症などに対する経皮的冠動脈ステント留置術や、心房細動や心室性期外収縮に対するアブレーションの症例数が多いです。心臓カテーテル治療とは、腕や足の血管から心臓まで管を通して病変を治療する方法です。
タイミングとしては①緊急で行う場合や検査と同時に行う場合、②検査から日数を空けて行う場合、③検査後一旦退院してから再入院して行う場合など、患者さんの状況に合わせて様々なタイミングで手術が行われております。
また、当科では徐脈性不整脈で失神や心不全を伴う症例に対してペースメーカー移植術も多く行っています。
大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療(TAVI)も症例数が増加してきています。

■心臓血管外科

心臓大血管手術の中で弁膜症に対しては、僧帽弁には弁形成術を積極的に行っております。小切開手術による低侵襲化も症例により導入しております。開胸手術のリスクが高い大動脈弁狭窄症の患者さんには、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)も行っています。TAVIやステントグラフト治療を受けられる患者さんには高齢者が多く、認知機能を含めリスク評価のために術前に検査入院を行い、手術適応などを慎重に検討しています。大血管手術は主に人工血管置換術とステントグラフト内挿術を行っていますが、血管の解剖学的な側面のみならず、年齢や基礎疾患、手術歴など、患者さまの状態に応じて慎重に治療法を検討した上で手術を行っております。虚血性心臓病に対しては、血行再建を目的としたバイパス手術を行っており、心機能や全身状態に応じて人工心肺装置を用いずに心拍動下での冠動脈バイパス術も行っております。

■消化器内科

内視鏡で治療可能な食道・胃・十二指腸・大腸の早期癌や腺腫の症例を多くご紹介頂いており、内視鏡手術件数は引き続き増加傾向です。大腸病変においては2cm以上の大きな病変に対する内視鏡的粘膜切除術が著しく増えています。Underwater EMRなどの新たな技術を積極的に取り入れたことで、より低侵襲な治療選択肢をご提供できた結果と考えます。引き続き高度かつ侵襲の少ない治療を目指して精進致します。
また今年度も高齢化に伴い、転院される患者様も多くいらっしゃいました。患者様が安心してご自宅での生活に戻れるよう引き続き地域の各医療機関と連携・協力して参ります。

■一般・消化器外科

一般・消化器外科における手術の特徴は、ほとんどの消化管悪性腫瘍(食道癌、胃癌、大腸癌など)を腹腔鏡(あるいは胸腔鏡)下に行っていることです。また、全国的に普及に時間を要する肝胆膵領域の悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術も積極的に取り入れています。さらに、手術支援ロボットを用いたロボット支援手術も積極的に行い、さらなる患者さんの身体的負担の軽減、より精度の高い手術を目指しており、今年から国産初の手術支援ロボットであるhinotoriTMも導入し、食道癌、胃癌、膵臓癌、直腸癌と幅広い領域に使用しています。また、胆石症や胆嚢炎に対する胆嚢摘出術や鼠径ヘルニアや腹壁ヘルニアに対する手術も腹腔鏡手術を基本としています。さらに、全国的に増加傾向にある膵癌は佐賀県においても同様の傾向であり、当科では血管合併切除や他臓器合併切除を含めた膵頭部領域の高難度手術(主に膵頭十二指腸切除術)も積極的に行っているのも特徴です。

■肝臓・糖尿病・内分泌内科

肝臓糖尿病内分泌内科では、胆膵疾患の治療の比重が増えております。胆膵領域では、総胆管結石に対する内視鏡治療(乳頭切開術や経鼻胆管ドレナージ)や、悪性疾患による胆道閉塞に対する減黄治療(胆管ステント留置)を行っています。内視鏡治療は、外科治療等と比較して侵襲が少ない治療ですが、胆膵領域の内視鏡治療は合併症が少なくありません。合併症のことも踏まえ、治療前のカンファレンス等で綿密に計画を立て治療に臨んでいます。同治療における平均在院日数は7~12日間となっています。

■血液・腫瘍内科

・自家移植の場合、アフェレーシスで自分の造血幹細胞を事前に回収、凍結しておき、強力な化学療法後に体に返します。
・抗がん剤治療を反復する際に、皮下に植込型カテーテルを設置すると、頻回の静脈への穿刺が不要になり、患者さんへの負担が軽減しま
 す。
・悪性リンパ腫や癌の転移などを調べるため、リンパ節生検を行います。診断に直結することもあり、重要です。

■脳神経内科

脳梗塞の患者さんで頚部から頭蓋内の主幹動脈に閉塞が見られる方には、速やかに経皮的血栓回収術を行います。当院では病着から血栓溶解療法までの時間を30分以内、血栓回収術開始までの時間を60分以内に行うことを目指して診療を行っています。術後は数日間脳神経外科での管理とし、その後脳神経内科で脳梗塞の原因検索と再発予防、リハビリを行います。このように当院脳血管センターの医師、看護師、コメディカルスタッフが連携して県内随一の医療を提供しています。

■脳神経外科

脳神経外科で最も多い手術は、頭蓋内腫瘍摘出術(その他)です。これは脳腫瘍に対する開頭手術による摘出手術のことです。脳神経外科では悪性腫瘍、良性腫瘍を問わず、様々な脳腫瘍に対する手術を行っています。また、手術に必要なナビゲーションシステム、電気生理モニタリングシステム、術中蛍光診断法、覚醒下手術などを症例に応じて使い分けながら安全かつ効果的な腫瘍摘出術を心掛けています。巨大で脳深部に発生している腫瘍に対しては、頭蓋底手技を用いた摘出術、また、悪性腫瘍においては、手術後も放射線治療や化学療法などが間断なく実施可能な体制を取っており、患者さんにとって最も治療効果が得られる治療方針をお勧めしています。
次いで多いのが頸動脈ステント留置術です。足の付け根の血管や肘の血管からカテーテルという管を首の血管まで通して、動脈硬化などで細くなってしまった頸動脈にステントを挿入することで頸動脈狭窄を広げ、脳への血流を改善させ、脳梗塞を予防することができる手術です。
3番目、4番目に多いのが脳血管内手術です。頸動脈ステント留置術と同様に、足の付け根の血管や肘の血管からカテーテルという管を脳の血管まで通して、そこから病変を治療する手術です。最も多い脳動脈瘤を始め、脳動静脈奇形、動静脈瘻といった病気に対して治療を行っています。
5番目に多いのは、頭蓋内微小血管減圧術です。これは顔面けいれんや三叉神経痛、舌咽神経痛といった病気に対する治療のための手術です。顔面けいれんでは顔面神経、三叉神経痛では三叉神経、舌咽神経痛では舌咽神経という脳神経が近くを走行する血管による圧迫によって引き起こされている場合があります。そうした場合、手術によって圧迫する血管を動かすことで圧迫を解除し症状を取ることができます。

■整形外科

1. 股関節領域では高位脱臼例や強直股、再置換術、膝関節領域でも重度変形例や再置換など難治症例を数多く治療しています。当科で開発
 した抗菌インプラントによる人工股関節置換術も行っています。            
2.4.5. 脊椎領域では最新の矯正固定術や除圧術を行い、手術症例数も増加しています。また新しい抗菌性インプラントによる脊椎固定術も行
 っています。近年は、椎間板ヘルニアの低侵襲治療である椎間板内酵素注入療法を積極的に行うことで椎間板ヘルニアでの手術を回避でき
 る例が増えています。
3. 肩関節領域では2014年より本邦で使用可能となった特殊な人工肩関節手術や低侵襲な関節鏡を用いた肩腱板断裂手術を行い、年々症例数
 は増えています。

■皮膚科

基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫などの皮膚悪性腫瘍に対する治療を積極的に行っています。熱傷や壊死性筋膜炎も多く診療しており、関連診療科と連携を取りながら最善の治療に努めています。

■腎臓内科

近年の高齢化や様々な合併症など多様な問題を抱えた末期腎不全患者さんに対し、迅速かつ適切な判断の下、慢性維持透析を継続して行うためのブラッドアクセスを始めとした腎代替療法のためのアクセス作成やそのトラブルへの対応を担っています。

■泌尿器科

前立腺癌に対するロボット支援下前立腺全摘術は、年間約50例行われ、安定した治療成績が得られています。 入院期間も10日間程度で、退院後速やかに社会復帰できます。膀胱癌に対しては、癌を特異的に発光させる光力学的な技術を併用した内視鏡手術を行っており、治療成績の向上に取り組んでいます。尿路結石に対しては細径の軟性尿管鏡とレーザーを用いた砕石治療を3泊4日程度の入院期間で行っています。骨盤臓器脱の患者さんに対してはより安全なロボット支援下仙骨膣固定術を県内で唯一行っており、短期間での退院が可能となっています。消化器癌や婦人科癌、尿路結石、そのほかの炎症性疾患による尿管閉塞に対して、経尿道的内視鏡下の尿管ステント留置術を行っており、生活の質を保ちながらそれぞれの疾患の治療に専念できるようサポートを行っています。

■産婦人科

1.子宮頚部切除術は子宮頚部高度異形成や上皮内癌などの前癌病変・初期病変に対して子宮温存の早期治療として子宮頚部円錐切除術を行っ
 ています。近年、子宮頚癌の若年化に伴い症例数が増加しています。
2.緊急帝王切開術です。母体、胎児の状況によっては、全身麻酔下の超緊急帝王切開術を行うこともあります。
3.子宮頚癌、子宮体癌の子宮悪性腫瘍に対する手術です。当科は佐賀県内の婦人科悪性腫瘍治療の拠点病院としての役割を担い、症例の集約
 化が進んでおり、多数の症例に対して積極的に手術を行っています。子宮体癌に対しては、腹腔鏡およびロボット支援手術も導入していま
 す。
4.主に良性を疑う附属器腫瘍に対し行っています。近年侵襲の少ない治療が推奨されており、高齢者や多種合併症をもつ方は周術期の全身管
 理も含めて当院へ紹介になることが多く、低侵襲手術のために近年増加しています。
5.予定帝王切開術です。帝王切開症例の増加に伴い、反復手術の症例が増加しています。

■小児科

手術については例年と大きくは変わりませんが、手術ではない軽度新生児仮死での蘇生術が例年より多い傾向がありました。

■眼科

当院では白内障については片眼について2泊3日の短期入院での治療を行っています。病院の性格上、全身や眼局所に合併症を抱えた難治性の患者さんを多く治療しています。
網膜剥離、糖尿病網膜症の網膜疾患や黄斑円孔や黄斑前膜などの網膜・硝子体疾患には硝子体手術が行われます。その際状況により50歳以上の方には白内障手術も併施されることが一般的です。硝子体手術は全例切開創が0.5mm程度の低侵襲硝子体手術(MIVS)で行っています。
薬物治療によりコントロール困難となった緑内障についても手術が多く行われています。緑内障手術でも最近は低侵襲緑内障手術(MIGS)に積極的に取り組んでいます。

■耳鼻咽喉科・頭頸部外科

手術別では小児~大人までの慢性扁桃炎や扁桃病巣感染症、閉塞性睡眠時無呼吸に対する扁桃摘出術や、内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)を多く行っています。頭頸部良性腫瘍の手術も多く扱っており、耳下腺・顎下腺の良性腫瘍に対しては、術中神経モニタリングを行って顔面神経を温存する摘出術を行っています。内視鏡下鼻副鼻腔手術については表示されている3、4型以外の手術も多数行っており、磁場式ナビゲーションシステムを用いて4Kの鮮明な画像をモニタリングしながら、安全で精度の高い手術を行っています。頭頸部癌や嚥下障害、気道狭窄に対する気道確保のための気管切開以外にも、他領域疾患のための長期期間内挿管の合併症予防のための気管切開も多く行っています。頭頸部癌、甲状腺癌の初回手術の他、再発時の救済手術など多くの頸部郭清術を行っています。

■救急医学科

多発重症外傷の集約化や新型コロナ感染流行に伴う肺炎で人工呼吸器管理を要する症例の受入を行っているため、結果的に気管切開術を行う患者数が多くなっていると判断します。

 

その他(DIC,敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併所の発生率 ファイルをダウンロード

敗血症とは、一般に肺炎や尿路感染症、胆道感染症など、細菌による臓器固有の感染症による炎症が全身に波及している状態です。血液中に細菌が流入し、全身を循環している場合が多く、腎臓や肝臓、その他の各種臓器の機能不全を起こします。
健康成人でも細菌感染症を契機に敗血症となり、緊急入院を要することがあります。このような場合、「入院契機と同一」と判断されます。一方、何等かの疾患で入院した患者さんが、治療経過中に敗血症を発症した場合に、その発生数は「入院契機とは異なる」として表現されます。
「同一」、あるいは「異なる」のいずれにおいても、当院で病院横断的な感染症診療が発足して以来、生命予後は非常に改善しています(論文で公表しています)。患者高齢化に伴い、この重症感染症の発生率は一定の値を推移することが考えられますが、当院では、感染症診療のコンサルテーション体制を敷き、休日も含めて専門的に対応しています。敗血症は、その診断を受ける患者さんの数が多いほど早期に診断されている事例が多く、予後も良好です。従って、患者数の多寡ではなく、診療プロセスの質をモニターすることが医療のクオリティとして重要です。当院では10年以上にわたり、このモニタリングを継続しており、クオリティが向上していることを確認しています。
手術・術後の合併症の発生率については、昨年同様、入院契機と同一のものがほとんどで、透析シャント閉塞による症例が62%と半数以上を占めています。地域の医療機関と密接な連携のもと、患者さんに必要な医療を提供出来ていると思います。

更新履歴
2023-09-30 令和4年度の病院情報の公開を開始しました。