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Department of Infectious Disease and Hospital Epidemiology ,SAGA University Hospital

TEL (代表) 0952-31-6511

〒849-8501 佐賀県佐賀市鍋島5−1−1

診療概要ID consultation



ご挨拶

  • 感染制御部 部長 青木 洋介

     佐賀大学医学部附属病院感染制御部では日常の感染対策と並列あるいは直列に,全診療科を対象とした感染症コンサルテーション診療を日常的に行っています。
    1997年〜1999年にかけて,血液培養陽性患者さんの診療状況を検証する機会があり,大学病院に相応しい質を保持した感染症診療機能が必要であることを痛感したことが本コンサルテーション診療を開始する発端でありました。2003年から正式にコンサルテーションを開始しましたが,その後,相談を受ける患者数が増加したため,2006年からは診療と教育の双方のニーズを満たすべく,卒後二年目の研修医を対象に感染症診療を選択研修するシステムを開設しました。以後,2016年度末までの時点で
    感染症の研修を受けた医師は300名を超えています。これに並行して,菌血症を発症した患者さんの生命予後に大きな改善が認められています。これは,敗血症患者の早期認識と血液培養励行の重要性についての,診療を通した理解(実感)が多くの研修医(現在はスタッフ医になっていますが)に浸透したためだと思います。病院感染症は市中感染症ほどvarietyに富む病態ではありませんので,頻度の高いnosocomial infectionの基本的診療(必要な一次検査と抗菌薬による適切な初期治療の開始)ができる医師を多く育てることが,大学病院全体の診療にとって重要であると考えています。
    同時に,感染症は診断が定まらないうちに治療を開始せざるを得ない場合も多いため,抗菌薬の副反応等,医療行為による負の影響を十分に勘案した上での治療開始のthresholdについて考えるトレーニングも必要です。また,分離菌が定着を意味するのか,あるいは感染症を惹起しているかの判別には患者の全身状態を客観的に評価できる能力が必要ですし,医育機関としては,学習者がその考え方を後輩に指導することができるようになるための教育も必要です。体系だった考え方のもとで感染症診療を若いうちに経験しておくことは,将来どの診療科を専攻する場合でも役立つ基本的臨床力を滋養することに他なりません。
    患者診療,主治医とのcommunication,感染対策,チーム医療人としての振る舞い,後進育成,これらの全てを視野に含む教育が,安全で質の高い医療を継続するために必要と考えます。これらの修練を通して,自己の能力の維持・向上に加え,医療機関という組織の能力向上を図る包括的な意味でのマネジメント能力を育成することが,当感染制御部が担うべき役割であると考えます。


    医療に携わっていらっしゃる皆様,諸先生方,どうぞよろしくお願い申し上げます

病院横断的な感染症診療

  • 全診療科を対象とした感染症コンサルテーション
    @血液培養陽性患者に関する主治診療科への診療支援(平日、休日)
    A感染症の診断および治療に関するコンサルテーション診療(平日)

    “プロブレムが整理された回診票”

  • 佐賀大学の菌血症に対する横断的診療と患者予後の改善について

    (濱田洋平 et al.,第83回日本感染症学会西日本地方会学術集会)
  • 感染症focus 2016 No12に掲載していただきました


外来の感染症診療

  • @HIV感染症の診療
    A肺炎球菌ワクチン接種
    B渡航感染症など特殊な感染症を疑う患者の診療(外来紹介)
    “感染制御部スタッフと研修医”


当院の研修医教育

  • 研修医2年次の選択コースとして感染症診療の初期教育を行っています。また、医学部5年生の臨床実習を受け入れています。2006年以降,当感染制御部で感染症診療の研修を受けた初期研修医は 2016年末の時点で300名を越えました。

     感染症を選択している後期研修医は現在4名ですが,感染症診療の基本を学んだ医師が各診療科に広く在籍してくれていることが,感染症診療面における当院全体の安全に繋がっていると思います
  • 「卒後初期の感染症診療・教育による抗菌薬適正使用の実践・啓発の10年に及ぶ取り組み」が第1回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰の厚生労働大臣賞を受賞しました.

  • 青木教授は日本化学療法学会の抗菌化学療法認定医制度審議委員会委員長を務めており、抗菌薬適正使用生涯教育セミナーの企画・運営や抗菌薬適正使用生涯教育テキスト(第3版)の企画・出版に携わっております。同テキストは当教室のスタッフも分担執筆者として関わっております。
     注文は画像をクリック
    会員1冊無償配布、非会員4,000円(税抜)
     


抗菌薬適正使用管理(antimicrobial stewardship)
への取り組み

  • Antimicrobial Stewardshipの普及のためには、適正な感染症診療の普及が不可欠と思います。当院は全病院横断的な感染症診療を推進し、患者予後の改善と抗菌薬適正使用の両立を実践しています。
  • 特に優先して適正使用が必要とされるカルバペネム系抗菌薬や抗MRSA薬については使用許可制/届出制として管理し、診療と疫学の両方の観点で適正使用を実践しています。
  • ATC/DDDシステムによる抗菌薬使用動向調査を行っています



感染防止対策に関する取組事項

  • 基本的方針
     院内感染を未然に防ぐ方策の周知・遵守を恒常的に図ると同時に、診療科横断的に発生する感染症に対して感染症専門医による診療支援を常時提供する。これにより、感染対策と感染症診療が常に相補的に機能する感染症の院内診療体制を維持する。また、医療スタッフの職業感染暴露を防止する。
  • 取り組み内容
    ・抗菌薬耐性病原菌の院内疫学状況を随時把握し、必要に応じ積極的な部署介入を行うことで院内での拡散を防ぐ。
    ・MRSAなどの耐性菌による感染症および血管内留置カテーテル関連血流感染など、院内感染症のサーベイランスを継続的に施行し、感染率の低減に努める。
    ・抗菌薬使用モニタリングから適切な抗菌薬使用を推進し、新規耐性菌の検出抑制に努める。
    ・院内感染対策ラウンドを行い、標準予防策、接触予防対策などの感染対策の実践を把握し、必要時には改善策を検討する。
    ・病院職員へ院内感染防止策に関する教育を行う。
    ・各診療部門から感染症診療コンサルテーションを受け、感染症治療の支援を行う。
    ・2年次研修医を対象に基本的感染症診療について学べる環境を提供し教育する。

バナースペース


(社)日本感染症学会
研修施設認定取得

佐賀大学医学部附属病院

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