初期研修プログラム 科名:一般・消化器外科

指導者

指導責任者
能城浩和
指導医代表者
能城浩和
指導医講習会修了者
能城浩和,真鍋達也,田中智和

必修研修

研修の概要

基礎的な外科手技の習得と急性期の全身管理ができるようになることを目的とする。
一般・消化器外科診療チームの一員として指導医の指導のもとに受け持ち患者を担当し,手術・周術期管理に携わる。ミニレクチャー等に参加し一般・消化器外科の幅広い知識を習得し,縫合実習,腹腔鏡手術simulatorを用いたトレーニングで基本的な技術を習得する。一度に5,6人程度はローテート可能。

研修成果

臨床医にとって必要な一般・消化器外科における知識を学び,問題解決のための科学的思考力と基本診療技術を修得する。診療チームの一員として,また社会人として協調して全人的医療が実践できることを目標とする。

研修目標

  1. 周術期の全身評価を正確に把握し,適切に管理できる。当科の初期研修では特にこの項目を重要視している。
    即ち周術期管理の知識は,将来一般・消化器外科以外の科を専門とした場合にも,プライマリーケア,消化器疾患合併患者の管理の際に応用できるからである。また周術期に必要な薬剤投与法,各種計算式を盛り込んだマニュアルも独自に作成しており活用できる。
    1. 臨床所見,血液生化学データを基に適切な周術期管理が実施できる。
    2. 糖尿病,内分泌疾患,肝・腎機能障害,呼吸機能障害などを合併した患者の病態を把握し管理ができる。
    3. 創部の評価,縫合,包交,切開・排膿,ドレーン管理が行える。
    4. 心肺蘇生,中心静脈カテーテル挿入,ショックの診断・治療など,手技を含む外科的クリティカルケアができる。
    5. 栄養状態を客観的に評価し,病態に応じた栄養管理ができる。
    6. 院内感染対策を理解,実施し,抗生剤の適正使用ができる。
  2. 救急の現場における急性腹症(消化管穿孔,腹膜炎,急性虫垂炎,腸閉塞,胆嚢炎・胆管炎,膵炎),腹部外傷患者の病態を把握しその初期対応を行い,手術適応を含めた治療計画を立てることができる。
  3. 以下の疾患について病態を理解し,診断および治療計画を立てることができる。またカンファレンスにおいて症例のプレゼンテーションと討論ができる。
    *食道癌,胃癌,大腸癌,肝癌,胆石症,胆道系悪性腫瘍,膵腫瘍,ヘルニア,痔疾患,乳腺疾患
  4. 以下の標準術式を理解し,手術助手を務めることができる。
    *腹腔鏡下幽門側胃切除術(開腹)/腹腔鏡下胃全摘術(開腹),腹腔鏡下結腸切除術(開腹),腹腔鏡下直腸低位前方切除術(開腹),直腸切断術,人工肛門造設術・閉鎖術,腸瘻造設術,肝切除術,腹腔鏡下胆嚢摘出術(開腹),腹腔ドレナージ術,虫垂切除術(腹腔鏡下),イレウス解除術,ヘルニア根治術,乳房温存/胸筋温存乳房切除術
  5. 患者,家族に対し簡単な説明・同意書を取ることができる。
    医療訴訟が問題となっている昨今において,患者・家族に対する説明の行い方を学ぶことは重要である。
    指導医の病状説明・癌告知・手術説明等に同席し,実際の説明の行い方,患者および家族とのコミュニケーションの取り方を習得する。

教育関連行事(スケジュール)

当科はグループ診療体制をとっており,各グループスタッフ・医員・臨床研修医が一つのチームとなり担当患者の診療を行う。毎日朝夕に回診を行い,その日の患者の状態,今後の予定をグループで話し合い,きめ細やかな管理を行っていく。従って直接指導医と接する機会が多いのが特徴である。主に上部消化管(胃・食道),肝・胆・膵,下部消化管(大腸・小腸),乳腺疾患のいずれかのグループに配属され研修を行うが,事前に希望のグループの連絡があれば考慮する。研修期間が短いため,担当できない疾患は術前・術後カンファレンス,回診などで知識を補うこと。急患手術,ERCP・PTCDなどの検査も多いため,積極的に参加して見識を広めてほしい。また各種カンファレンスを行うことで,実際行った診療が適切であったかを検証し,常に知識を更新させている。

  1. 最新の知見を,英文論文を通して皆で共有することを目的とする。スタッフ,医員,研究生が担当。
  2. 病理との合同カンファレンス。実際に手術を行った症例を提示して,術前診断との対比,病変の広がりと切除範囲の整合性の検証を行うことを目的とする。
  3. 最近の鏡視下手術の発展はめざましく,今後外科医にとって鏡視下手術の技術を習得することは必須となってくる。鏡視下手術の基礎から実際のKnack & Pitfallをスタッフが担当しレクチャーを行う。
  4. 結紮・縫合の基礎知識を学び,実際の技術を習得する。適宜技術評価を行う。
  5. スタッフ,医員が執刀した手術をビデオで供覧し,手技その他について批評する。

選択研修(2~7か月)

研修の概要

1年目と比較し,より高度な知識・技術を習得する。

研修成果

必修研修と同様。

研修目標

必修研修に準じるが,さらに症例を重ね,食道癌や肝胆膵悪性腫瘍などのより高度な病態に対応できる経験を深めることを目的とする。
ヘルニア根治術,虫垂切除術などを含め基本的な手術手技を習得する。
各悪性腫瘍に対する化学療法に対する基礎知識を習得し,適切なレジメンを選択できる。1年次での研修経験を踏まえ,1年次研修医を適宜指導できるようになる。

教育関連行事(スケジュール)

必修研修と同様。

佐賀大学 医学部 一般・消化器外科ホームページアドレス:https://www.surgery.med.saga-u.ac.jp/