初期研修プログラム 科名:脳神経外科

指導者

指導責任者
阿部竜也
指導医代表者
伊藤 寛
指導医講習会修了者
阿部竜也,増岡 淳,中原由紀子,緒方敦之,吉岡史隆,伊藤 寛,古川 隆

必修研修

研修の概要

初期研修のうち外科系初期研修を脳神経外科で行い,外科系の基本的手技を習得するのみならず脳神経外科の基本的診断能力と脳神経外科基本手技を習得することを目的とします。脳神経外科は,脳血管障害・脳腫瘍・頭部外傷・先天性疾患・脊髄脊椎疾患・感染性疾患・機能的脳神経外科疾患(てんかん・三叉神経痛・片側顔面けいれんなど)と多岐にわたります。その中でも脳血管障害は依然日本人の死因の上位を占めており,救急患者におけるその初期対応は内科,外科を問わず臨床医にとって必須の知識であります。また頭部外傷は日常遭遇しやすい疾患であり,的確な診断と迅速な対応が要求されます。
このような救急救命医療に興味のある方は,外科系初期研修として脳神経外科を選択することを勧めます。また研修期間中は中枢神経の解剖を学んで頭部CT,頭部MRIの正確な読影ができるよう修練する場を提供します。

研修成果

脳神経疾患患者の取り扱い方の基本を習得する。

脳神経外科の対象疾患は,意識障害や神経脱落症状などの特殊な症状を呈し,急性・亜急性・慢性とさまざまな経過をたどります。これらの神経学的所見及び神経放射線学的検査から,中枢神経系疾患の基礎的概念を習得し,その鑑別診断ができるとともに治療方針を決定する能力を養います。意識障害のある患者,特に脳血管障害の病態を理解し,迅速かつ適切な判断・予測を行い,治療法を選択していく過程を実践してもらいます。

脳神経外科基本手技を習得する。

初期臨床研修では,脳神経外科医としての基本的手技(縫合処置,腰椎穿刺,脳血管撮影など)を学び,加えて脳神経外科学の基礎的知識を習得できます。基本的な脳神経外科手術を経験できるようなシステムが構築されており,指導医のもと,慢性硬膜下血腫洗浄術,脳室ドレナージ術,脳室-腹腔シャント術,頭蓋形成術,気管切開術などの手術を執刀することが可能です。また希望者には脳神経外科手術の基本である手術用顕微鏡下でのマイクロサージェリー基本手技の練習(血管吻合など)やシュミレーターを用いたカテーテル操作の練習の場を提供します。

研修目標

救急医療現場における中枢神経系疾患の病態の把握
意識レベルを正しく判定できる。
  • Japan Coma Scale,Glasgow Coma Scaleを判定できる。
  • 中枢神経由来の意識障害の原因を理学的所見より推定できる。
  • 意識障害を有する患者の基本的な神経診察が可能である。
  • 上記と平行して,気道確保,静脈確保,vital signsのチェック,モニター機器の装着が遺漏なくできる。
基本的な神経学的診断が可能となる。
  • 頭蓋内圧亢進症状
  • 脳ヘルニア徴候
  • 髄膜刺激症状
  • 錘体路症状
  • 小脳症状
  • 各種脳神経麻痺
基本的な神経放射線学的検査の読影が可能となる。
  • 頭蓋単純X線撮影
  • 頚椎単純X線撮影
  • 頭部 CT scan
  • 頭部 MRI
  • 脳血管造影
基本的な検査手技の習得
腰椎穿刺
脳血管造影
脳神経外科各種手術手技の習得
  • 気管切開術
  • 脳室ドレナージ術
  • 慢性硬膜下血腫洗浄術
  • 頭蓋形成術
  • 脳室―腹腔シャント術

経験すべき症状・病態・疾患

症状
  • 頭痛,嘔気・嘔吐
  • 視力・視野障害
  • 眼球運動障害
  • 聴力障害,耳鳴り・めまい
  • 顔面の麻痺,顔面痛
  • 手足の麻痺
  • 感覚障害
  • 言語障害(失語,構音障害)
  • 意識障害,失神発作
  • 項部硬直
  • 歩行障害
  • 膀胱直腸障害
  • 痙攣発作・痙攣重積状態
病態
  • 頭蓋内圧亢進
  • 脳ヘルニア
  • 脳虚血
疾患
  • 脳内出血
  • くも膜下出血
  • 脳血管奇形
  • 脳脊髄腫瘍
  • 頭部外傷
  • 先天性神経疾患
  • 機能的脳神経外科

教育関連行事(スケジュール)

モーニング
カンファ
術前・術後カンファ 手術 術前・術後カンファ 手術 脳卒中カンファ
午前 病棟業務
外来補佐
外来補佐 病棟回診
脳血管造影検査
午後 病棟回診
抄読会
医局会
脳血管造影検査
病棟業務
病棟業務

選択研修

必修研修と同じ。
期間は原則として2か月以上であるが,相談によっては1か月でも可。