初期研修プログラム 科名:形成外科

指導者

指導責任者
上村哲司
指導医代表者
渡邊英孝
指導医講習会修了者
上村哲司,渡邊英孝

必修研修

概要

形成外科は外科系診療科の中の一専門分野である。一般に「外科系診療科」は,(1)生命を救うこと(救命),(2)痛みを除去すること(除痛),(3)機能を回復すること(機能回復),加えて(4)社会生活の質(QOL: quality of life)を向上させることを目的に,手術的治療を行います。この中で,形成外科は主として,機能回復とQOLの向上を目的とする専門外科です。形成外科には大別して二つの専門領域があります。一つは,組織の異常,変形や欠損などの「疾患」を治療対象とする「再建外科」であり,もう一つは,疾患とは言えないが,ご自身が大変気にしている微妙な形状を治療対象とする「美容外科」です。再建外科は「生まれつきの,またはけがや癌などで変形したり失われた体の表面や骨の異常を,機能の回復のみならず形も正常に近い状態に再建し,QOLの向上に貢献する」専門領域です。また,「美容外科」は,客観的には病気と認められない細微な形態変化を外科的に修復して,生活の満足度を向上させる専門分野と言えます。
今回の初期研修では,再建外科を中心に,研修します。
形成外科は,特定の臓器(呼吸器外科,脳神経外科など)の病気を治療対象とする外科ではなく,全身のあらゆる部位の異常や形態変化を治療対象としていますので,他の診療科と多くの境界領域を持っています。その中で,さまざまな外科治療学を学ぶ診療科です。
初期の短期研修では,形成外科の8大治療法を学びます。

  1. 創傷治療
  2. 皮膚表面形成術
  3. 縫縮術
  4. 植皮術(遊離植皮術,皮弁術)
  5. 皮膚以外の組織移植術(真皮,脂肪,筋膜,筋肉,骨,軟骨など)
  6. プロテーゼ
  7. 化粧法
  8. 組織再生治療

上記の8大治療法の中で,特に1.創傷治療と3.縫縮術と4.植皮術の理解に重点をおきます。

研修成果

  1. 形成外科の基本手技を学ぶ。
    創傷処置,縫合術,植皮術および皮弁形成術
  2. 顔面外傷および熱傷のプライマリー処置を学ぶ。
  3. 形成外科手術書(基礎編)を読む。

研修目標

  1. 形成外科疾患の受持医となり,病歴と身体所見,プログレスノート,退院サマリーを正確に電子カルテに記載できる。特に形成外科においては臨床写真は重要であり,デジタルカメラを用いた正しい写真撮影ができる。
  2. 患者の問題点を同定でき,診断および手術適応決定のための治療計画を立案できる。
  3. 手術適応と術式の選択を正しく述べることができる。
  4. 術創部の適切な処置および抜糸時期を理解し実施できる。
  5. 局所麻酔,簡単な伝達麻酔が実施でき,外傷創部の適切な scrubbing & debridement が行え,皮膚縫合が行える。
  6. 顔面多発外傷,全身熱傷などの重篤な疾患の初期対応ができる。
  7. 模擬血管を用いて,顕微鏡下に血管吻合ができる。
  8. 主治医として患者,家族との信頼関係を重視し,入院中の治療が行え,さらに comedical staff とのチームワークを円滑に行うことができる。
  9. 学術活動(学会発表1回)が適切にできる。

形成外科週間予定表

不明な点は,外来医長(永野2789),医局長(渡邉3788)まで相談を。
病棟回診は,AM7:30~。術前CCは,AM7:15~開始。病棟回診は5階東病棟,術前CCは形成外科医局

カンファレンス

月曜日 16:00~17:00 皮膚科カンファレンス(皮膚科医局)
18:00~18:30 抄読会(形成外科医局)
火曜日 8:15~9:00 退院カンファレンス・勉強会(形成外科医局)
16:15~17:30 耳鼻科カンファレンス(5階カンファレンス室)
木曜日 7:15~8:30 術前カンファレンス(形成外科医局)
8:30~8:45 下肢救済カンファレンス(3階カンファレンス室)

各科からの再建依頼手術

月曜日
皮膚悪性腫瘍再建
火曜日
口腔外科(口腔底再建等),脳神経外科(頭蓋底再建等),整形外科(四肢再建等),産婦人科(リンパ管細静脈吻合等)
水曜日
耳鼻咽喉科(頭頚部再建)
木曜日
胸部外科(膿胸,胸壁再建等)
金曜日
外科(乳房再建)

(リンパ浮腫に対するリンパ管細静脈吻合)

選択研修

概要

1年目の必修研修で,形成外科を選択したものは,以下の8大治療法のうち,1.創傷治療と3.縫縮術と4.植皮術の理解を深め,それを実践でき,そのほか2,皮膚表面形成術,5.皮膚以外の組織移植術(真皮,脂肪,筋膜,筋肉,骨,軟骨など)6.プロテーゼ7.化粧法8.組織再生治療の理解に重点をおきます。

  1. 創傷治療
  2. 皮膚表面形成術
  3. 縫縮術
  4. 植皮術(遊離植皮術,皮弁術)
  5. 皮膚以外の組織移植術(真皮,脂肪,筋膜,筋肉,骨,軟骨など)
  6. プロテーゼ
  7. 化粧法
  8. 組織再生治療

1年目の必修研修で,形成外科を選択しなかったものは,1創傷治療から8組織再生治療まで順序に従って,小さい番号の治療法から形成外科の治療学を学び,その理解に重点をおきます。

研修成果

必修研修目標に以下を加える。

  1. 形成外科手術書(実践編)を読む。

研修目標

必修研修と同じ。
教育関連行事は,必修研修と同じ。

期間

1か月~複数か月可です。

定員

2名

問合せ先

担当者:上村哲司
電話番号:0952-34-2460(医局)
e-mail: uemurat@cc.saga-u.ac.jp