初期研修プログラム 科名:麻酔科蘇生科

指導者

指導責任者
坂口嘉郎
指導医代表者
坂口嘉郎
指導医講習会修了者
坂口嘉郎,瀬戸口秀一,谷川義則,中川内章,山下友子,中村公秀,久我公美子,山田康貴,原野りか絵,平松史帆,永石雄基,田代 卓

必修研修

研修の概要

麻酔科蘇生科研修の期間は2か月(以上)とする。必修である救急研修の代わりに麻酔科蘇生科研修を行う場合には2通りある。

  • 「1年目の2か月の救急研修」の代わりに麻酔科蘇生科を2か月(以上)研修する。この場合は2年目に2か月,救急を研修する。
  • 「2年目の1か月の救急研修」の代わりに麻酔科蘇生科を2か月(以上)研修する。この場合,麻 酔科蘇生科の研修時期は1年目,2年目どちらでも可能である。

研修成果

麻酔科蘇生科の必修研修では,以下の能力・態度を習得する。

  • 手術患者の基本的な麻酔・全身管理と重症患者への初期対応を実践できる
  • 全人的に患者を把握し,患者・家族との信頼関係を構築することができる
  • チーム医療を実践できる
  • 診療記録の重要性を理解し,適切に記載することができる
  • 安全で安心できる医療の提供に努める

研修目標

手術患者の基本的な麻酔・全身管理と重症患者への初期対応
  1. 身体所見やバイタルサインを迅速かつ的確に把握し,重症度と緊急度が判断できる。
  2. 手術侵襲に対する生体反応や麻酔が生体に与える影響を理解し,生体の恒常性維持をはかるための基本的な全身管理を行うことができる。
  3. バッグバルブマスク,気管挿管を適切に実践できる。
  4. 専門医への適切なコンサルテーションができる。
  5. 基本的な検査データ(CBC,血液生化学,血液ガス分析,画像,心電図)から病態をさらに把握することができる。
全人的な患者の把握と信頼関係の構築
  1. 診察を通して,患者の性格や社会的背景を理解しようと努める。
  2. 患者・家族から信頼を得られるような接遇を身に付ける。
  3. インフォームド・コンセントの意義と重要性を理解し,実施できる。
  4. 患者のプライバシーへの配慮ができる。
チーム医療の実践
  1. 把握した情報を正しく指導医に伝え,治療方針を協議することができる。
  2. 自己の技能の限界を自覚し,専門医に適切なコンサルテーションができる。
  3. 看護師など他の医療従事者と良好なコミュニケーションをとれる。
  4. 自己の役割を把握し,協調してチーム医療が実践できる。
診療記録の重要性への理解と記載
  1. POS 方式で診療記録を客観的に記載することができる。
  2. 診療記録に遅滞無く正確に記載する習慣を身に付ける。
  3. 診療記録記載の重要性を社会的,法的側面からも理解する。
安全,安心な医療の提供
  1. 日頃から,医療関連事故報道に関心を持つ。
  2. 医療安全研修会に積極的に参加する。
  3. 安全管理の方策を身に付け行動できる。

教育関連行事(スケジュール)

午前 7:40~ 抄読会
7:50~ 朝の勉強会と術前カンファレンス
8:10~ 臨床麻酔 8:10~ 臨床麻酔 8:10~ 臨床麻酔 8:10~ 臨床麻酔 8:10~ 臨床麻酔
午後 術前診察と麻酔管理計画立案
麻酔計画の報告と検討
術前診察と麻酔管理計画立案
麻酔計画の報告と検討
16:00 胸部外科症例合同カンファレンス
術前診察と麻酔管理計画立案
麻酔計画の報告と検討
術前診察と麻酔管理計画立案
麻酔計画の報告と検討
術前診察と麻酔管理計画立案
麻酔計画の報告と検討

☆テーマ別勉強会(適宜)

選択研修

このプログラムは,専門的に麻酔科や,集中治療,ペインクリニック,緩和ケアなど麻酔関連領域の研修を希望する研修医のためのコースである。したがって,各研修医の希望に応じ,麻酔科専門医など各学会専門医取得を前提とした専門研修への円滑な導入にも配慮する。
以下の研修コースの中から選択する。

臨床麻酔専修コース

1年目に麻酔科蘇生科研修を選択し,さらに麻酔の技能を高めたいという研修医を対象。

ペインクリニック研修コース

神経障害性痛やがん性疼痛など治療に難渋する症例に対する鑑別診断や適応,治療法について研修する。

集中治療研修コース

重症患者の全身管理を習得したい研修医を対象。

緩和ケア研修コース

将来,緩和医療に携わりたいと考えている研修医を対象。緩和ケアチームの一員として,診療活動に参画する。

研修の概要

選択期間は2か月~6か月とする。

研修成果

選択研修終了時に専門研修を円滑に開始することができる能力がある。

研修目標

必修研修の成果・目標に加えて,選択研修では以下の習得を目標とする。

臨床麻酔専修コース
  1. 手術患者に対する適切な術前評価を行い,麻酔法の選択,術中・術後の全身管理計画を立てることができる。
  2. 周術期に起こりうる危機的状況を理解し,備えることができる。
  3. 各種麻酔法の基本的手技・手順と合併症を理解し,指導医とともに安全に実践できる。
ペインクリニック研修コース
  1. ペインクリニック領域の適応疾患について理解する。
  2. 他の症患群との鑑別診断が行える。
  3. 神経ブロック,薬物療法などの適応を理解する。
集中治療研修コース
  1. 各種重症疾患(ARDS,敗血症,ショック,術後重症患者など)について治療計画を立て,病態に応じた全身管理が行える。
  2. 身体所見や検査データにより,患者の状態が把握できる。
  3. 人工呼吸管理の適応と方法について説明できる。
  4. 循環不全患者の薬物治療,補助循環の適応と方法について説明できる。
緩和ケア研修コース
  1. 神経ブロックの適応や,オピオイド,非オピオイド,鎮痛補助薬の使用法を理解する。
  2. 終末期医療において告知をめぐる諸問題への配慮ができる。
  3. 患者,家族の死生観・宗教観などへの配慮ができる。