循環器内科

概要

　循環器内科は佐賀県内の循環器診療の「最後の砦」として、急性冠症候群、急性心不全、大動脈解離、致死性不整脈などの救急疾患に24時間対応しています。また、地域に密着した最先端の診療を提供することを目指しています。
　高齢化社会に伴い、心不全パンデミックの時代が到来すると言われています。これを避けるには、高齢者のみならず一般人口に対する循環器疾患の予防・早期介入が重要な課題です。我々は主に、心不全、動脈硬化性疾患、不整脈の領域で、これに取り組んでいます。
　心不全診療においては、基礎心疾患はもとより、全身に及ぶ合併症の存在を前提として全身を「診る」ことを基本とし、社会的背景も含めた治療介入を行っています。2023年度に経皮的僧帽弁クリップ術の施設認定を取得し、弁膜症・心不全の治療に大きく貢献できる状況となりました。
　動脈硬化を基礎とする虚血性心疾患や弁膜症(大動脈弁狭窄症)に対する治療も精力的に行っています。冠動脈インターベンション（PCI）に加え、経カテーテル的大動脈弁留置術（TAVI/TAVR）も心臓血管外科と協働で診療しています。脂質異常症専門外来や、睡眠時無呼吸外来など、循環器疾患の基礎にある生活習慣病の治療に特化した外来も開設しています。
　不整脈診療においては、積極的にカテーテルアブレーションに取り組んでおり、佐賀県内の多くの施設からご紹介いただいています。2023年より経皮的左心耳閉鎖術も開始しました。
　各領域における臨床研究にも並行して取り組んでおり、新規知見の解明に励んでいます。

取り扱っている主な疾患

心不全、虚血性心疾患、不整脈、心筋症、弁膜症、心膜疾患、先天性心疾患、急性大動脈解離、肺塞栓症、肺高血圧症など。全身性疾患に伴う心血管障害、腫瘍関連の心血管障害など、他科との併診も行っています。

特色・得意分野

　急性冠症候群を中心に、積極的にPCIを行っています。心肺停止症例や心源性ショック症例に対しては、経皮的心肺補助装置（PCPS）や補助循環用ポンプカテーテル（IMPELLA）、大動脈内バルーンパンピング（IABP）を用いた救命治療が可能です。また、冠動脈CTでの早期検出や、FFR-CTを用いた心筋虚血の評価などを駆使し、低侵襲なスクリーニング検査を心がけています。
　近年増加している高齢者の大動脈弁狭窄症に対しては、心臓血管外科と協働でTAVI/TAVRを行い、高齢患者さんのADL改善、QOL維持に貢献しています。また2023年に経皮的僧帽弁クリップ術の施設認定を取得し、僧帽弁逆流症に対する低侵襲の治療が行えるようになることで、弁膜症に伴う心不全患者さんの予後の改善を得ています。TAVI/TAVR、経皮的僧帽弁クリップ術は佐賀県内で唯一の認定施設として地域医療を支えています。
　不整脈診療については、心房細動や心室頻拍などに対するカテーテルアブレーションは2023年に418例を行い、良好な治療成績を得ています。患者さんの苦痛を除くため、全身麻酔、深鎮静で行っており、高い患者満足度を得ています。また、2023年からは経皮的左心耳閉鎖術の施設認定を取得し、心房細動に伴う心内血栓の予防に大きく貢献できることとなりました。重症心不全や致死的不整脈の治療として、植込み型除細動器（ICD）や心臓再同期療法（CRT-D）の症例も増加しています。完全皮下植込み型除細動器（S-ICD）もいち早く導入し、遺伝性致死性不整脈症例や若年症例でのより最適な治療を目指しています。徐脈性不整脈に対する新規治療として、リードレスペースメーカも積極的に使用しており、より低侵襲で術後の安静時間も短く、個々の患者さんに合わせて最適な治療法の選択が可能となりました。
　心不全診療については、重症心不全患者さんにおける埋込み型補助人工心臓管理施設に認定され、県外施設と連携して管理を行っています。 近年の特徴として、悪性腫瘍に関連した心血管障害（深部静脈血栓症/肺塞栓症、心筋障害など）が増加しており、悪性腫瘍主治科とともに並診して治療に当たっています。

取得した認定学会名